天然磁石の発見と利用

紀元前3000年頃

慈母の力に見立てられた天然磁石「慈石」

天然磁石は紀元前3000年ごろ、ギリシアのマグネシア地方で見つかりました。その地名から「マグネス」、やがて「マグネット」と呼ばれるようになりました。天然磁石は主に磁鉄鉱という岩石でできています。中国の慈州にも磁鉄鉱の産地があり、その地名から「慈石」、これが磁石の名前の由来とされています。日本では713年、奈良時代に編さんされた「続日本紀」に、近江国(滋賀県)で磁鉄鉱が発見され、慈石として天皇に献上されたという記述があります。

「慈」は「慈しみ」を表し、鉄を引き寄せる磁石の神秘的な力に、わが子を慈しみ引き寄せる母親の力を見立てたものだと考えられています。磁石の持つN極とS極は母親の2つの乳房に対応するともいわれています。

天然磁石が生まれるワケ

地球の中心には内核があり、外側に鉄を中心に構成される外核があり、その中で回転する摩擦などによって磁場が作り出されると推測されています。その周りを覆うマントルの表面には岩石が高熱で溶けてドロドロになっているマグマがあり、一部が地表に噴き出したものが火山です。そこで岩石が移動するときの摩擦などによって、磁気を帯びた天然磁石ができるのではないかと考えられています。落雷の時に地表を流れる電流が作る磁力の影響を受けているとも考えられています。

富士山麓の樹海、青木ケ原にも天然磁石が多く存在しています。それによって方位磁石が狂って使えなくなり、足を踏み込むと出て来られなくなるという都市伝説もあります。