サマリウムコバルト磁石の誕生

西暦1967年頃

世界初の希土類磁石、日本人が改良

アメリカの空軍材料研究所では1967年、希土類元素のサマリウムをコバルトに混ぜ、世界初の希土類磁石「サマリウムコバルト磁石(サマコバ磁石)」を開発しました。高い磁力を持つ上に、さびに強くキュリー温度も高いため、ハイテク産業からオフィス機器、家電まで幅広い分野で使われてきました。

ここで再び日本の研究者の出番です。松下電器や信越化学工業の磁性研究所長を務めた俵好夫博士が、合金の成分や熱処理技術を発展させた「2−17サマリウムコバルト磁石」を1975年に実用化。サマリウムが2、コバルト、鉄、銅、ジルコニウムを合わせた組成が17という複雑な組み合わせの合金で、最初のサマリウムコバルト磁石(1-5サマリウムコバルト磁石)よりも強力です。

サマコバ磁石が王座を明け渡したワケ

サマリウムコバルト磁石は強磁性体のコバルトの割合が最も多く、高価なコバルトが大量に使われていました。「コバルトショック」でコバルト価格が急騰し、供給の危機にさらされたことから、磁石業界では強磁性体の中でもっとも安価な鉄に切り替えて磁石を作ろうという機運が高まるとともに、サマリウムコバルト磁石に対する研究熱は冷めていきました。