世界最強「ネオジム磁石」の誕生

西暦1982年頃

鉄をベースにした史上最強の磁石

自然界に存在する元素のうち、主に磁石の本体として使える強磁性のものは鉄、コバルト、ニッケルの3つ。コバルトが供給不安定で価格が高騰すると、世界の研究者たちは鉄による高性能な磁石作りを目指しました。そうした中で生まれたネオジム磁石は現在もなお「史上最強の磁石」として君臨しています。

ネオジム磁石は野菜やシャープペンシルの芯、お札までも引き付けるほどの強力さで、同じ大きさのフェライト磁石と比較すると持ち上げられる鉄の重量がおよそ100倍にもなります。希土類のネオジムを大量に使ってはいますが、ネオジムは同じ希土類でもコバルトより埋蔵量が多いことから、資源的なメリットもあります。

一から学び世界最強の磁石を発明

東北大学大学院で金属材料工学を研究し、工学博士を取得した佐川眞人さん。それまで磁石や磁性材料について専門的に学んだことはありませんでしたが、1972年に富士通に入社すると特殊な電気部品に使う磁石の開発を命じられ、磁性材料の勉強を一から始めます。やがて「なぜ資源が豊富な鉄で強い磁石ができないのか」という疑問が湧き、鉄とレアアースの組み合わせによる磁石の開発に取り組み始めます。

研究を重ねるうち、ネオジム2・鉄14・ボロン(ホウ素)1という組み合わせで強力な磁石ができることを発見。富士通から住友特殊金属(現・日立金属)に移った後の1982年5月、「ネオジム磁石」を作り上げました。1988年に同社を退社後、磁石に関する研究開発を専門にするインターメタリックス株式会社を設立し、現在も最高技術顧問に就いています。